公開日:2017年10月7日
キャスト
葉山貴司 – 松本潤
工藤泉 – 有村架純
小野玲二 – 坂口健太郎
山田志緒 – 大西礼芳
黒川博文 – 古舘佑太郎
塚本柚子 – 神岡実希
金田伊織 – 駒木根隆介
新堂慶 – 金子大地
葉山美雪 – 市川実日子
宮沢慶太 – 瀬戸康史
スタッフ
原作 – 島本理生「ナラタージュ」(角川文庫刊)
監督 – 行定勲
脚本 – 堀泉杏
音楽 – めいなCo.
製作 – 佐野真之、市川南、藤島ジュリーK.、堀内大示、弓矢政法、倉田奏補、髙橋誠、荒波修、古賀俊輔、吉川英作、小川真司
エグゼクティブ・プロデューサー – 豊島雅郎、上田太地
プロデューサー – 小川真司、古賀俊輔
撮影 – 福本淳
照明 – 市川徳充
編集 – 今井剛
衣装デザイン – 伊藤佐智子
美術 – 相馬直樹
装飾 – 田中宏
録音 – 伊藤裕規
助監督 – 増田伸弥
VFXスーパーバイザー – 進威志
音響効果 – 岡瀬晶彦
演劇監修 – 島田雅之
劇中劇 – 「夏の夜の夢」(翻訳:松岡和子)
取材協力 – 千葉県立松戸高等学校、千葉県立松戸馬橋高等学校、東京都立飛鳥高等学校、東京都立大泉桜高等学校、獨協高等学校、富山県立富山東高等学校、下地一彰(順天堂大学)
ロケ協力 – 富山県、富山市、高岡市、氷見市、富山県ロケーションオフィス、富山フィルムコミッション、高岡フィルムコミッション、高岡市観光協会、富山県立伏木高等学校、富山県立となみ野高等学校 ほか
企画協力 – KADOKAWA
企画 – セカンドサイト、ブリッジヘッド
配給 – 東宝、アスミック・エース
制作プロダクション – 東映東京撮影所
制作協力 – ザフール
製作 – 「ナラタージュ」製作委員会(アスミック・エース、東宝、ジェイ・ストーム、KADOKAWA、ジェイアール東日本企画、セカンドサイト、KDDI、GYAO、ザフール、日本出版販売、ブリッジヘッド)
あらすじ
会社で働く工藤泉(有村架純)は夜遅くまで残業の日々を送っていました。窓の外は激しい大雨が降り続けています。外からずぶ濡れで帰ってきた後輩の宮沢(瀬戸康史)にタオルを渡した泉は、今ではもう動かなくなった懐中時計を取り出しました。この時計は、かつて泉が激しく愛し合った高校時代の恩師・葉山貴司(松本潤)から贈られたものでした。
二人が出会ったのは泉が高校3年生だった頃、泉は偶然すれ違った葉山から、彼が顧問を務める演劇部に誘われました。葉山には妻の美雪(市川実日子)がいましたが、美雪は心のバランスを崩して葉山の元を去り、葉山は籍は抜かずに彼女の帰りを待ち続けていました。
泉はその事実を知りながらも葉山への想いが日に日に募っていき、葉山もまた泉の純粋さに惹かれていきます。卒業式の日、泉は葉山とキスをしますが、その日以来葉山とは会うこともなく大学生活を過ごしていました。
月日が流れ、大学2年となった泉の元に、2年ぶりに葉山から連絡がありました。今の演劇部は部員が足りず、卒業公演を手伝ってほしいというものでした。そこに泉の元同級生である山田志緒(大西礼芳)と黒川博文(古舘佑太郎)、そして黒川の友人である小野玲二(坂口健太郎)が加わり、演劇の練習が開始されました。
2年ぶりに再会を果たした泉と葉山の心は揺れ動く一方、小野は泉に惹かれていきました。既婚者である葉山への想いで葛藤する泉に小野は想いを告げ、泉は受け入れて二人は交際を始めます。
最初は葉山への未練も残っていた泉も少しづつ過去を断ち切ろうとしていたその矢先、泉の後輩演劇部員である塚本柚子(神岡実希)が自殺未遂事件を起こしてしまい、救急搬送先に駆け付けた泉と小野は葉山と出会ってしまいます。もはや葉山への想いを隠せない泉は遂に小野に詫びながら別れを告げてしまい、葉山の元へと走っていきました。
(引用:映画ウォッチ)
感想
主人公の回想で構成された作品。タイトルのナラタージュとは、映画などで、ある人物の語りや回想によって過去を再現する手法。この作品はナラタージュの呪縛に囚われていて分かりにくくなっていると思います。これについては後述します。
まず主人公は工藤泉(有村架純)。泉の超目標は葉山貴司(松本潤)と結ばれることです。それを阻む環境要因は、葉山が既婚者であること。そして、恋人の小野玲二(坂口健太郎)の存在です。
葉山は既に離婚していると言っていましたが、実は別れておらず、離婚する気もあまりない。東京の実家に帰った妻の好きだった映画のDVDをまだ残していることからも、その心理が窺われます。要するにろくな男ではありません。
一方、小野はどうかというと最初は好青年を演じていましたが、付き合ってみるととっても重い幼稚な男で、他の男の影を感じてはモラハラまがいの言動を泉にぶつけます。こちらもろくなもんじゃない。
要するにこの映画はろくでもない男に挟まれた女の話です。ラブストーリーの主人公の相手役は少なくとも1人はいい男じゃないと話になりません。主人公の葛藤が生まれる前提に違和感が生じるからです。他にもいい男がいるだろうに、なぜか泉は狭い世界から抜け出せません。高校生の頃に周囲から浮いていた自分を演劇部に誘ってくれた恩義を何年も感じていたのでしょうか。いや、葉山を好きな気持ちがそれくらい強かったということで納得しましょう。
主人公であるにも関わらずさして目立った行動に泉は出ません。受け身をとっているだけです。これではなかなか観客も主人公に感情移入することができません。
そして、とにかくこの映画は社会人の泉、大学生の泉、高校生の泉と3つの時制が絡まっていて分かりにくい。回想の回想が入ると途端に話が分かりにくくなります。この作品のタイトルが『ナラタージュ』なのでそこは外せないということでしょうか。だったらせめて、大学生の泉と高校生の泉で物語って、最後に社会人の泉で締めるというのはいかがでしょうか。
なぜ最後に懐中時計が動き出したのかは分かりませんが、泉が前を向く描写として、そしてある種のファンタジーとしてありだと思います。
視聴方法
・U-NEXT
・Netflix